鉄の体内組織に大量蓄積する代謝性疾患で、ローリーでは致命的な病気になります。鉄貯蔵病(ISD)はヒトの場合、最も一般的な要因には遺伝性疾患があげられていますが鳥類では原因がいまだ解明されていません。
鉄含有率の高い食餌およびこれらの種における鉄代謝の差によるものと考えられています。
ペットとして飼われている鳥では九官鳥 (Mynahs)、 オオハシ(toucans)、極楽鳥(bird of paradise)、ヒオウギインコ(hawk headed parrot)などの昆虫類を採食する鳥や、果物を採食する鳥でよく発症すると言われていますが、野生では滅多に見られません。
鉄貯蔵病の臨床的徴候には、寝ている時間が多い、虚弱、動きたがらない、気嚢や腹部などへの液体貯留、麻痺、肝臓腫大、腹部膨満、呼吸困難、緑色の尿(ビリベルジン尿)などがあげられますが、ほとんどのケースでは、鉄貯蔵病は無徴候性で死の直前まで明らかな症状を表しません。
特にオオハシでは症状が出ないまま突然死するといわれています。症状がある鳥が、本当にその病気であるかどうかを確認するためには 肝生検(肝臓の一部を切り取って、染色などの処理をした後、顕微鏡で細胞構造などを見る検査)ですが、小型の鳥の場合はこれらの検査が難しいため、レントゲン検査や血液検査や臨床症状などで仮診断をつけ、治療することが多いようです。
日ごろ気をつけるべき点としては、まず動物性の食餌は植物性の食餌よりも鉄の含有量が多いので、動物性の食餌をできるだけ避けるということです。
また植物性のものでもブドウ、ホウレンソウ、レーズン、プルーン(すもも)、赤肉、卵黄、バナナ、桃、緑色のメロン、マンゴー、パパイヤ、カボチャ、ゆでたジャガイモなどは他の果物よりも鉄の含有量が多いので避けましょう。
そして鉄貯蔵病になりやすくなるもう一つの要因はビタミンCです。
ビタミンCを多く含む果物は 鉄の吸収を促す作用があるので、トマト、キウイ、イチゴ、柑橘系の果物などビタミンCを多く含む食物は避けたほうが良いでしょう。
参考文献 :Ritchie, Harrison, Harrison; Avian Medicine, Principles and Application
Darrel Styles, Hemochromatosis: A Metabolic Disease of Softbills ,
Kirk Klasing, Comparative Avian Nutrition